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顎口腔系の成り立ちで述べたように下顎安静位は、末梢からのfeed back inputにより筋肉による制御を受けていますが、この他にも下顎安静位を保持する機構があります。Brillはこの下顎安静位の保持機構について受動的な力と能動的な力に分類して説明しています。
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下顎安静位は下顎骨が筋を中心とする軟組織によって頭蓋にぶら下がった状態にあるため、頭位・姿勢で変化しやすく、口呼吸ではDonderの陰圧が働かなかったり、精神的・情動的刺激や、眼からの光刺激によっても様々に筋緊張を生じて、容易に変化します。
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また、さらに重要なことは、習慣性咬合位(咬頭嵌合位)が変化すれば、神経筋機構のフィードバックにより常にその近くに下顎安静位が形成・維持されていくということです。つまり通常我々が見ている下顎安静位は、個体ごとに固有の歯列と咬頭嵌合位に順応されたもので、下顎位に偏移があれば下顎安静位も生理的に望ましい位置には存在していないということです。つまり下顎安静位は、生涯を通じ一定ではないということです。 |